台風前に行うべき屋根の点検・対策を解説!台風に強い屋根材も紹介
「台風で屋根が飛ばされたら、修理費用はどのくらいかかるんだろう」
「家の屋根、台風に耐えられるのかな」
「自分でできる台風対策って何があるだろう」
近年、台風の大型化により、屋根への被害は深刻さを増しています。2019年の台風15号では、ある地域で実に73%もの家屋で屋根被害が確認されました。こうした被害を防ぐには、台風が来る前の点検と対策が欠かせないのです。
しかし、屋根の専門知識がない方にとって、どこをチェックし、どんな対策をすれば良いのか判断が難しいものです。自分でできる対策の範囲や、業者に依頼すべき工事の見極めにも迷いがあるでしょう。
この記事では、台風から屋根を守るために必要な点検ポイントと対策方法を詳しく解説します。さらに、台風に強い屋根材の特徴や火災保険の活用方法まで、建物を守るために役立つ情報をお伝えしていきます。
台風による屋根被害
台風シーズンになると、屋根への被害が多く報告されます。屋根材の種類によって被害の特徴が異なるため、お住まいの屋根に合わせた対策が重要です。
以下の3つの屋根材別に、台風被害の特徴を解説します。
どの屋根材でも、定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、台風被害のリスクを抑えることが可能です。
瓦屋根の被害
瓦屋根は、台風による被害が最も多い屋根材の一つです。スレート屋根や金属屋根は一枚一枚の屋根材が下地に釘やビスで固定されているのに対し、瓦屋根は桟木と呼ばれる角材に引っ掛けて固定されているのが一般的です。
このため、築年数が経過して固定力が弱まると、台風の強風で瓦が飛散するケースが増えてきます。特に棟瓦部分は、漆喰の劣化や銅線の緩みにより、被害を受けやすい箇所となっています。
瓦は屋根材の中で最も重いため、強風で飛散すると周囲への被害も大きくなります。人身事故につながる可能性もあるため、台風シーズン前の点検と補修が欠かせません。
スレート屋根の被害
スレート屋根には、天然スレートと人工スレートがありますが、日本の住宅で多く使用されているのは人工スレートです。セメントに繊維を混ぜて製造されており、瓦と比べて軽量な屋根材となっています。
スレート屋根の被害で多いのが、強風による屋根材の飛散と棟板金の剥離です。経年劣化により、スレートを固定している釘が緩んでいたり、棟板金の固定力が弱まっていたりすると、台風の強風で飛ばされてしまう可能性があります。
また、飛来物との衝突による割れや欠けも発生しやすく、そこから雨漏りにつながることもあります。軽量な分、飛散時の衝撃は瓦ほどではありませんが、近隣の建物に損害を与える可能性は十分にあります。
金属屋根の被害
金属屋根は軽量で耐震性に優れていますが、その軽さゆえに台風の影響を受けやすい特徴があります。特に古いトタン屋根や、縦方向に葺く「縦ハゼ葺き」「瓦棒葺き」などの工法では、強風による被害が報告されています。
金属屋根の代表的な被害は、屋根材の浮きや剥がれです。経年で板金が歪んでいたり、錆びて端の方から劣化が進んでいたりすると、強風で浮きやめくれが発生します。最悪の場合、屋根面の大半が一気に剥がれ落ちることもあります。
また、飛来物による凹みや穴あきも金属屋根特有の被害です。こうした損傷箇所から雨水が侵入し、下地の防水紙の劣化や雨漏りを引き起こすケースも少なくありません。
台風前に行うべき屋根の点検ポイント
台風シーズンを前に、屋根の状態をチェックしておくことが重要です。ただし、屋根に上ることは大変危険なため、地上からの目視確認を基本とし、異常が見つかった場合は専門業者に相談しましょう。以下の4つのポイントをチェックします。
これらの点検を定期的に行うことで、台風による被害を未然に防ぐことができます。
ポイント1:屋根材の点検
屋根材の点検では、破損やズレがないかを確認します。瓦屋根の場合は、ひび割れや欠け、ズレなどをチェックします。特に瓦のズレは強風で飛散する原因となるため、注意が必要です。
スレート屋根では、割れや欠け、浮きなどの有無を確認します。経年劣化により、スレートを固定している釘が緩んでいることもあるため、屋根材全体の状態をよく観察しましょう。
金属屋根の場合は、錆びや浮き、歪みがないかをチェックします。特に端部分の浮きは、強風で屋根材が捲れる原因となるため、しっかりと確認することが大切です。
ポイント2:棟部分の点検
棟は屋根の頂上部分にあたり、風の影響を最も受けやすい箇所です。瓦屋根の場合、棟瓦を固定している漆喰の剥がれや、銅線の緩みがないかを確認します。漆喰が剥がれていると、雨水が浸入して瓦を固定している土が流出し、強風で棟瓦が飛散する危険性が高まります。
スレート屋根や金属屋根では、棟板金の状態を確認します。棟板金の浮きや釘の緩みは、強風で板金が飛散する原因となります。特に築10年以上が経過した屋根では、釘の緩みが起きやすいため、入念なチェックが必要でしょう。
ポイント3:雨樋の点検
雨樋は雨水を適切に排水する重要な役割を担っています。落ち葉やゴミが詰まっていないか、本体に割れや曲がりがないかを確認します。排水がうまくいかないと、強い雨の際に雨樋から雨水が溢れ、外壁や軒裏に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、雨樋の固定金具にガタつきがないかもチェックしましょう。強風で雨樋が揺さぶられると、固定部分が緩んで雨樋自体が外れてしまうことがあります。特に、竪樋と横樋の接続部分は要注意です。
ポイント4:外壁の点検
外壁の状態も、台風対策として重要なチェックポイントです。クラック(亀裂)の有無、特に幅0.3mmを超える大きなクラックがないかを確認します。こうしたクラックは、台風の強い風雨で雨水が浸入する経路となり、雨漏りの原因となります。
また、窓枠やドア枠周りのコーキング材の劣化も確認しましょう。コーキング材が硬化して隙間ができていたり、切れていたりすると、そこから雨水が侵入する可能性があります。外壁の塗装の状態もチェックし、剥がれや色あせが目立つ場合は、塗り替えを検討する必要があるでしょう。
屋根の点検について、詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
→屋根点検は自分でできる?安全な点検方法と悪徳業者の手口を解説
自分でできる屋根の台風対策
台風に備えて、自分でできる対策をしっかりと行っておくことが大切です。危険な作業は避け、安全に実施できる範囲で以下の4つの対策を行いましょう。
これらの対策は、台風が接近する前に余裕を持って実施することが重要です。
台風対策1:雨樋の清掃
雨樋に落ち葉やゴミが詰まっていると、台風時の大量の雨水を適切に排水できません。その結果、雨樋から雨水が溢れ出し、外壁や軒裏に被害が及ぶ可能性があります。
清掃は脚立を使用して、地上から手の届く範囲で行いましょう。落ち葉やゴミを取り除いた後、ホースで水を流して排水の状態を確認します。この時、継ぎ目からの水漏れがないかもチェックします。
ただし、高所での作業は危険を伴うため、2階の雨樋など手の届かない場所は無理せず、専門業者に依頼することをお勧めします。
台風対策2:植木鉢・物干しの固定
強風で飛ばされた植木鉢や物干しが、屋根材に衝突して損傷を与える事例が報告されています。台風が接近する前に、これらの屋外用品は室内に移動するか、しっかりと固定する必要があります。
植木鉢は可能な限り室内に移動させましょう。室内に移動できない大型の植木鉢は、複数の固定用ロープで柱や手すりにしっかりと固定します。物干しは支柱を最も低い位置まで下げ、竿は外して室内に保管します。
その他、自転車やゴミ箱など、強風で飛ばされる可能性のある物も室内に移動させましょう。
台風対策3:窓・雨戸の補強
台風の強風で飛ばされた物が窓ガラスに衝突すると、破損や飛散の危険があります。雨戸がある場合は、必ず閉めて鍵をかけておきましょう。雨戸の建て付けが悪い場合は、事前に調整や修理をしておくことが望ましいです。
雨戸がない窓は、ガラス飛散防止フィルムを貼ったり、養生テープで×印に補強したりします。カーテンやブラインドは閉めておくことで、万が一ガラスが割れた場合の破片の飛散を防ぐことができます。
台風対策4:非常時の準備物
台風による停電や断水に備えて、必要な物を事前に準備しておきましょう。懐中電灯やラジオ、予備の電池は必須です。スマートフォンの充電器やモバイルバッテリーも用意しておくと安心です。
飲料水は1人1日3リットルを目安に、最低でも3日分を確保します。非常食も同様に3日分程度用意しておきましょう。また、救急箱や常備薬の確認も忘れずに行います。
これらの備品は定期的に点検し、使用期限や電池の残量をチェックすることが大切です。台風シーズン前に、必ず確認する習慣をつけましょう。
台風に強い屋根材
台風による被害を最小限に抑えるためには、耐風性能の高い屋根材を選ぶことが重要です。ここでは、台風に強いとされる代表的な屋根材について解説します。
建物の条件や予算に応じて、最適な屋根材を選択しましょう。
防災瓦
防災瓦は、台風や地震などの自然災害に強い新しい屋根材です。一般的な瓦が桟木に引っ掛けて固定するだけなのに対し、防災瓦は瓦同士が固定されるロック構造を持ち、さらに1枚1枚をビスで下地にしっかりと固定します。
例えば「ルーガ」という製品は、風速60m/sの強風にも耐えられる設計で、通常の瓦と同等の厚みながら重量は約1/2という特徴があります。また、飛来物が衝突しても割れにくい素材を使用しており、万が一割れても破片の飛散を防ぐ設計となっています。
見た目は従来の瓦と変わらないため、和風住宅との相性も良好です。地震にも強い特徴を持つため、防災意識の高い方におすすめの屋根材といえるでしょう。
金属屋根
金属屋根の代表格であるガルバリウム鋼板は、高い耐久性と防水性を兼ね備えています。特にサビに強く、沿岸部でも優れた耐食性を発揮します。また、瓦の約1/10という軽さも特徴で、建物への負担が少なく、耐震性を高めることができます。
代表的な製品「スーパーガルテクト」は、屋根材同士を引っかけるように固定する嵌合(かんごう)式を採用しています。この工法により、強風による飛散を防ぎ、高い耐風性能を実現しています。
ただし、金属屋根は飛来物との衝突でへこみや穴があく可能性があるため、定期的な点検とメンテナンスが重要です。適切な管理を行えば25年以上の耐用年数が期待できます。
スレート屋根
スレート屋根には、天然スレートと人工スレートがありますが、日本の住宅では主にセメントに繊維を混ぜて製造された人工スレートが使用されています。瓦と比べて軽量なため、建物の耐震性を確保しやすい特徴があります。
人工スレートは、下地にしっかりと固定することで十分な耐風性能を発揮します。コストパフォーマンスの高さも特徴で、一般住宅でも採用しやすい屋根材です。
ただし、経年劣化による割れや、飛来物との衝突による破損には注意が必要です。定期的な点検を行い、必要に応じて部分的な補修や交換を検討する必要があるでしょう。
屋根材の種類や特徴について、詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
→人気の屋根材8種類の費用と特徴を解説!選び方や判断基準まで
業者に依頼すべき屋根工事
台風対策として必要な屋根工事は、建物の状態や予算によって選択肢が異なります。ここでは、業者に依頼すべき代表的な工事について解説します。
工事の種類や範囲は、専門業者による診断結果を参考に決定することをお勧めします。
葺き替え工事
葺き替え工事は、既存の屋根材を全て撤去し、新しい屋根材に取り換える工事です。下地の防水シートや野地板まで確認できるため、建物全体の耐久性を高める効果が期待できます。
特に築30年以上が経過した屋根や、台風による度重なる被害を受けている場合は、葺き替え工事を検討する必要があります。また、現状より軽い屋根材に葺き替えることで、建物の耐震性を向上させることも可能です。
工期は10日程度かかりますが、屋根全体を刷新できるため、長期的な視点では最も確実な台風対策といえるでしょう。一度足場を組むため、外壁工事と同時に行うとコストを抑えることができます。
屋根葺き替え工事の費用相場や工期について、詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
→【完全版】屋根葺き替え工事の費用相場・工期・補助金・業者選びまで解説
カバー工法
カバー工事は、既存の屋根材の上から新しい屋根材を重ねて施工する工法です。既存の屋根を撤去する必要がないため、葺き替えと比べて工期が短く、費用も抑えることができます。
ただし、下地の状態を確認できないため、野地板が腐食している場合は適していません。また、築40年以上の建物や、雨漏りが発生している場合も、葺き替え工事を推奨します。
カバー工法で使用できるのは金属屋根材のみです。台風対策として採用する場合は、耐風性能の高い横葺き金属屋根を選び、適切な換気棟を設置することが重要です。
屋根カバー工法の費用相場やメリット・デメリットについて、詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
→屋根カバー工法とは?費用相場と失敗しない7つのポイントを徹底解説
部分補修工事
部分補修工事は、破損や劣化が局所的な場合に選択する工事方法です。瓦のズレや割れ、棟板金の浮き、漆喰の剥がれなど、台風で被害を受けやすい箇所を重点的に補修します。
特に台風シーズン前の点検で不具合が見つかった場合は、被害が拡大する前に補修することをお勧めします。例えば、棟板金の固定し直しや漆喰の詰め直しは、比較的少額で対応できる工事です。
ただし、複数箇所に不具合が見られる場合は、部分補修を繰り返すよりも葺き替えやカバー工事を検討した方が、長期的なコスト削減につながる可能性があります。
屋根工事の種類と各工事の内容について、詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
点検・メンテナンス
定期的な点検とメンテナンスは、台風による被害を未然に防ぐために欠かせません。特に台風シーズン前の点検は重要で、屋根材の状態や固定具の緩み、シーリング材の劣化などを専門業者にチェックしてもらいます。
点検で異常が見つかった場合は、早めの補修をお勧めします。また、瓦屋根の場合は10年程度で漆喰の詰め直しが必要になり、金属屋根では定期的なビスの増し締めが推奨されます。
屋根は目視での確認が難しく、素人判断では見落としの可能性もあります。年1回程度は専門業者による点検を行い、必要に応じてメンテナンスを実施することで、台風への備えを万全にしましょう。
台風被害は火災保険が適用できる場合もある
台風による屋根の被害は、加入している火災保険で修繕費用を補償できる可能性があります。火災保険は火災だけでなく、台風や強風、雪害、水害など、多くの自然災害による被害をカバーしているためです。
保険金の申請には、被害状況を記録した写真や修理見積書が必要となります。台風で被害を受けた場合は、可能な範囲で被害箇所を写真に収めておくことをお勧めします。また、被害を発見したら、すぐに保険会社に連絡して相談しましょう。
ただし、保険適用の可否は保険の契約内容によって異なります。また、経年劣化による損傷は補償対象外となる場合が多いため、契約内容をよく確認しておく必要があります。
信頼できる業者であれば、火災保険の申請サポートも行っています。見積書の作成から保険金の申請手続きまで、専門的なアドバイスを受けることができるでしょう。保険を活用することで、修繕費用の負担を軽減できる可能性があります。
屋根の火災保険について、詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
→火災保険は屋根工事に使える?保険適用の条件から申請方法まで徹底解説
台風被害の工事・点検はトベシンホームにご相談ください
出典元:トベシンホーム
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台風被害の修理では、火災保険の申請サポートも行っています。保険申請の要否判断から施工、アフターフォローまで、一貫して自社スタッフが担当することで、スムーズな工事進行を実現しています。
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まとめ
台風による屋根被害を防ぐためには、事前の点検と対策が重要です。特に築年数が経過した建物は、台風の強風や豪雨によって大きな被害を受けるリスクが高まります。
屋根材の種類に応じた適切なメンテナンスを行い、必要に応じて耐風性能の高い屋根材への交換も検討しましょう。また、火災保険の活用も視野に入れることで、修繕費用の負担を軽減できる可能性があります。
台風対策は、建物を守るだけでなく、居住者の安全も確保する重要な取り組みです。専門家による定期的な点検を行い、適切な時期に必要な工事を実施することをおすすめします。