金属屋根の葺き替え費用と特徴!メリット・デメリットまで専門家が解説
「築年数が経ち、瓦やスレートの葺き替えを検討しているけれど、どの屋根材を選べばいいのだろう」
「金属屋根は軽くて耐震性が高いと聞くけれど、本当に我が家に合っているのか知りたい」
近年、屋根材として人気が高まっている金属屋根。従来の瓦やスレートと比べて軽量で、工事期間も短いことから、葺き替え工事の新しい選択肢として注目を集めています。
しかし、金属屋根への葺き替えを検討する際には、耐久性や費用、施工品質など、さまざまな要素を慎重に見極める必要があります。特に工事業者の選定は、施工後の性能や耐久性を大きく左右する重要なポイントです。
この記事では、金属屋根の基礎知識から費用相場、メリット・デメリットまで、専門家の視点で詳しく解説します。葺き替え工事で失敗しないための注意点もご紹介しているので、金属屋根への葺き替えをご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
金属屋根は近年の葺き替え工事の主流
2024年現在、金属屋根は屋根材市場でトップシェアを誇っています。従来の瓦やスレートに代わり、新築からリフォームまで幅広く採用されている屋根材です。以下の3つの観点から、金属屋根の特徴と人気の理由を解説します。
屋根材市場における金属屋根のシェアは63.2%に達し、セメント系の15.0%、粘土瓦の13.4%を大きく引き離しています。
屋根の葺き替えについて、詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
金属屋根の種類と特徴
金属屋根には大きく分けて3種類あります。最も一般的なのがガルバリウム鋼板で、亜鉛とアルミニウムでメッキ加工された鋼板です。トタンの約4倍の耐久性を持ち、軽量で加工のしやすさが特徴です。
次にエスジーエル鋼板は、ガルバリウム鋼板にマグネシウムを加えた新しい素材です。特に沿岸部での耐久性に優れ、ガルバリウム鋼板の3倍以上の防錆性能を発揮します。
最後に石粒付き鋼板は、表面に石粒をコーティングした屋根材です。断熱性と遮音性に優れ、メンテナンスフリーという特徴を持っています。
屋根材別の特徴や費用について、詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
金属屋根が選ばれる背景
金属屋根が選ばれる最大の理由は、軽量かつ高い耐久性にあります。瓦屋根の重さは1㎡あたり約50~60kgですが、金属屋根は約5kgと約10分の1の重さです。
この軽量性は地震時の建物への負担を大きく軽減し、耐震性の向上につながります。さらに、施工期間の短さや、リサイクル可能な環境配慮型の素材である点も、選ばれる要因となっています。
最近では断熱材一体型の製品も増え、夏場の暑さ対策としても注目を集めているのです。
金属屋根の耐用年数
金属屋根の種類によって耐用年数は異なりますが、適切なメンテナンスを行うことで長期間の使用が可能です。
トタン屋根が20~30年の耐用年数であるのに対し、ガルバリウム鋼板は30年前後、さらにエスジーエル鋼板は35年前後の耐用年数が期待できます。
特に最新のエスジーエル鋼板は、沿岸地域でも優れた耐久性を発揮し、メンテナンス頻度も少なくて済むという特徴があります。ただし、定期的な点検と適切な補修を行うことで、さらなる長寿命化が可能です。
屋根の耐用年数について、詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
金属屋根の費用相場
金属屋根の工事費用は、屋根の面積や工事内容、既存屋根の状態によって変動します。葺き替え工事と屋根カバー工法では、以下のような費用相場となっています。
一般的な木造2階建て住宅(築25年・屋根面積80㎡・屋根6面・下屋根あり)の場合の費用相場をご紹介します。
葺き替え工事の費用相場:
既存屋根 | 工事費用 |
---|---|
スレート屋根(アスベストなし) | 130~170万円 |
スレート屋根(アスベストあり) | 160~200万円 |
瓦葺き(葺き土なし) | 130~170万円 |
瓦葺き(葺き土あり) | 180~220万円 |
トタン | 130~150万円 |
屋根カバー工法の費用相場:
既存屋根 | 工事費用 |
---|---|
スレート屋根(アスベストの有無問わず) | 90~110万円 |
トタン | 110~130万円 |
なお、上記金額に加えて足場組立費用が約20万円が必要となります。ガルバリウム鋼板を使用した工事の場合、1㎡あたり6,000~10,000円が工事価格の目安です。
葺き替え工事は既存屋根の撤去と処分が必要なため、カバー工法と比べて費用が高くなる傾向にあります。しかし、下地から新しくなるため、より長期的な耐久性が期待できるでしょう。
費用を抑えたい場合は屋根カバー工法も選択肢の一つですが、既存屋根の状態によっては施工できない場合もあります。工事方法の選定は、建物の状態や予算に応じて専門業者に相談することをおすすめします。
金属屋根のメリット
金属屋根は、従来の瓦やスレートと比べて多くのメリットがあります。特に近年は性能が向上し、耐久性や施工性などの面で高い評価を得ています。
以下の5つの特徴から、金属屋根の優位性を解説します。
これらの特徴により、新築からリフォームまで幅広く採用されています。
メリット1:優れた耐震性能
金属屋根最大の特徴は、その軽さにあります。1㎡あたりの重量は約5kgと、瓦屋根の約10分の1という圧倒的な軽量性を誇ります。
屋根が軽いということは、建物の重心が低くなり、地震の際の揺れが軽減されます。特に既存の瓦屋根から金属屋根に葺き替えることで、建物への負担を大きく軽減できるのです。
メリット2:メンテナンスの手軽さ
金属屋根は日常的なメンテナンスが比較的容易です。3か月から1年に1回程度の水による洗浄で、基本的な手入れは十分です。
特にガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板は高い耐久性を持ち、瓦のように苔が生えにくく、割れや欠けの心配も少ないという特徴があります。
メリット3:施工期間の短さ
金属屋根の施工は、軽量で加工がしやすい特性により、従来の瓦屋根と比べて工期を大幅に短縮できます。
葺き替え工事の場合でも10日前後、カバー工法であれば1週間程度で完了することが可能です。工期が短いため、仮設費用の抑制にもつながります。
メリット4:リサイクル性の高さ
金属屋根の特徴として、環境への配慮も挙げられます。使用後は100%リサイクルが可能で、廃材処理の費用も抑えられるのです。
瓦やスレートと異なり、産業廃棄物として処分する必要がないため、環境負荷を低減できます。さらに、スクラップとして買い取られる可能性もあります。
メリット5:豊富なデザイン性
金属屋根は豊富なカラーバリエーションとデザインを取り揃えています。従来のシンプルなデザインから、瓦風のフォルムまで、建物の外観に合わせた選択が可能です。
特に和風住宅には落ち着いた色合いの黒色やブラウン、グリーンなどが人気です。モダンな印象を演出したい場合は、シルバーやブルーなどの洗練された色調も選べます。
金属屋根のデメリット
金属屋根には多くのメリットがある一方で、いくつかの課題も存在します。導入を検討する際は、以下の4つのデメリットについても理解しておく必要があるでしょう。
これらの特徴を把握したうえで、適切な対策を講じることが重要です。
デメリット1:断熱性の弱さ
金属屋根は素材自体に断熱性能がないため、瓦やスレートと比べて室内への熱の伝わりやすさが課題となります。特に夏場は屋根表面が90度近くまで上昇することも。
この対策として、断熱材一体型の金属屋根材を選択するか、屋根裏に断熱材を設置する必要があります。ただし、これにより工事費用が増加する点にも注意が必要でしょう。
デメリット2:雨音が響きやすい
金属製の屋根は振動が伝わりやすく、特に強い雨の際は室内まで音が響きやすいという特徴があります。この問題は2階建ての場合、2階の部屋により顕著に表れます。
防音対策として断熱材の使用が有効ですが、完全な解消は難しい場合もあります。寝室を2階に配置している場合は、特に注意が必要です。
デメリット3:工事業者による品質差が生じやすい
金属屋根の需要増加に伴い、専門知識が不十分な業者の参入も増えています。適切な施工が行われないと、雨漏りや早期劣化などの問題が発生するリスクがあります。
特に防水シートの施工や棟板金の固定方法は、業者の技術力によって大きな差が出やすい部分です。実績のある建築板金の専門業者を選ぶことが重要でしょう。
デメリット4:色あせのリスク
金属屋根は紫外線の影響で、時間の経過とともに色あせが生じる可能性があります。特に海沿いの地域では、潮風の影響で劣化が早まることもあります。
メンテナンスとして15~20年に一度の塗装が推奨されますが、これは定期的なコストとして考慮しておく必要があるでしょう。ただし、最新の製品では耐候性が向上し、色あせの進行を抑える工夫も施されています。
金属屋根の葺き替え工事で後悔しないための注意点
金属屋根の葺き替え工事では、適切な判断と対策が重要です。後悔しない工事を実現するために、以下の3つの注意点をしっかりと確認しましょう。
これらの点に注意を払うことで、長期にわたって安心できる屋根に仕上がります。
注意点1:経験不足の業者への依頼はさける
金属屋根の需要増加に伴い、専門知識が不足した業者による低品質な工事が問題となっています。特に防水シートの施工や棟板金の固定方法は、高度な技術が必要とされる部分です。
信頼できる業者を見分けるポイントは、建築板金工事の実績と資材置き場の有無です。金属屋根を専門に扱う工事会社であれば、屋根材を保管する倉庫を持っているはずです。
外壁塗装会社や一般リフォーム会社は、多くの場合、金属屋根工事を外注する形となり、中間マージンが発生して工事費用が割高になりがちです。直接施工できる建築板金工事会社に依頼することで、適正価格での高品質な工事が期待できるでしょう。
注意点2:定期点検は必ず実施する
金属屋根は耐久性に優れていますが、定期的なメンテナンスが必要です。特に棟板金周りは台風などの強風で不具合が生じやすく、放置すると雨漏りの原因となります。
点検のタイミングは、設置後10年を目安に実施し、その後は状態に応じて15~20年ごとに塗装も含めたメンテナンスを行うことが推奨されます。特に海沿いの地域では、潮風の影響で劣化が早まる可能性があるため、より頻繁な点検が必要です。
また、定期点検では雨どいの詰まりや周辺の木の枝なども確認します。木の枝が接触したままだと、傷がつき錆の原因となるためです。点検時には必ず専門業者に依頼し、不具合の早期発見に努めましょう。
屋根の点検方法について、詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
注意点3:寿命が短い安価な素材ばかりを選定しない
金属屋根材には、ガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板など、様々な種類があります。初期費用を抑えるために安価な材料を選びがちですが、これは長期的に見ると大きな失敗となる可能性があります。
例えば、従来のトタン屋根は10年程度で錆が発生し、10年ごとの塗り替えが必要です。一方、ガルバリウム鋼板は30年前後、さらにエスジーエル鋼板は35年前後の耐用年数が期待できます。
耐久性の高い素材を選ぶことで、メンテナンス頻度を抑え、トータルコストを削減できます。特に沿岸部では、耐久性の高いエスジーエル鋼板の採用を検討することをお勧めします。
金属屋根の葺き替え工事は実績豊富なトベシンホームにご相談ください
出典元:トベシンホーム
会社名 | FCR株式会社 トベシンホーム |
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本社所在地 | 〒271-0064 千葉県松戸市上本郷2868-8 |
電話番号 | 0120-685-126 |
対応エリア | 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県 |
トベシンホームは、関東圏を中心に金属屋根の葺き替え工事を数多く手がけてきた外装リフォームの専門店です。建築板金のプロフェッショナルとして、地域の気候特性を考慮した最適な工事プランをご提案しています。
施工は経験豊富な自社スタッフが担当し、事前調査からアフターフォローまで一貫した体制で対応いたします。特に金属屋根工事では、適切な素材選びと高い技術力で、耐久性に優れた施工を実現しています。
まずは無料点検をご利用ください。最短即日での現地調査も可能です。
大切な住まいの屋根工事について、お気軽にご相談ください。
まとめ
金属屋根は、その軽量性と耐久性から、近年の葺き替え工事の主流となっています。特にガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板は、従来のトタン屋根と比べて格段に性能が向上し、30年以上の耐用年数が期待できます。
工事費用は葺き替えで130〜220万円、カバー工法で90〜130万円が一般的な相場となっています。ただし、工事の成功には専門業者の選定が重要な鍵となるでしょう。
メリットとデメリットを十分に理解し、建物の状態や予算に応じた適切な工事方法を選択することで、長期にわたって安心できる屋根へと生まれ変わらせることが可能です。